あっついですね。飯森山公園も蝉の大合唱。
こんにちは、スタッフKです。暑い毎日ですが、うれしい話題をひとつ。去る5月に当館が放映されたNHKEテレ日曜美術館が「アートシーン特別編」として再放送されます。前回見逃した方も、ぜひご覧くださいね。
さて、現在当館では「生誕110年 土門拳 鬼が撮った日本」展を開催中で、土門が使った大型カメラや、絵や書、骨董コレクションなど、いつもはなかなかご紹介できないものも展示中です。中でも、ガラスケースに展示中の「東京女子高等師範学校(現お茶の水女子大)卒業記念アルバム1936」と「早稲田大学卒業記念アルバム1937」の2冊は超レア。
早稲田のアルバムの方は、10年前に岩波書店から「土門拳の早稲田1937」として復刻出版されたので、復刻版をご覧になった方もいるかもしれません。土門自身もまだ日本工房に入りたての青春期、学生たちとうちとけ、学内だけではなく下宿や銭湯など学生のプライベートまでも、自由に生き生きと活写し、文章も添えています。若き土門の才気がほとばしる、これは卒業記念アルバムを超えた「写真集」です。
東京女子高等師範学校の方は、このアルバムを当館に1990年頃に寄贈してくださった藤原美智子氏の著書「こころはいつもギャルソンヌ 私とミカの店の物語」(グラフ社刊)に詳しく書いてあるのですが、学生だった藤原さんご本人が、「日本工房」のグラフィック誌「NIPPON」に魅かれ、「ぜひ、私たちの卒業アルバムを作ってください」と日本工房主宰の名取洋之助氏に直談判して製作されたものだそうです。まだ昭和11年。その頃日本では珍しい透明プラスチックの表紙で、写真を大きな印画紙に焼き付けたプリントが、そのままリングで綴じてある、デザインも洗練された画期的なアルバム。多忙の名取氏に代わり、ほとんどは土門拳が撮影し、藤原さんも助手として走りまわったそうです。青春の喜び、勢いがしっかりと写っているこのアルバム。展示は、来月23日まで。ぜひ、お見逃しなく。